自転車整備録【自作キャリパーブラケットでリアディスクブレーキ化検討】

Bicycle
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 最近の自転車は、ロードも含めてディスクブレーキ化が進んでいます。少し前のMTBなどをモディファイしようとするとディスクブレーキの壁に突き当たって断念、、、という事もあるのではないでしょうか?

 リアのディスクブレーキ化は、本来フレームにブレーキキャリパーの取り付け構造が無ければ出来ない話です。しかし、世の中には、アダプターと呼ばれるものが存在し、A2ZやSONONIAというメーカーから出ています。

 A2Zは、リアエンドを内側のキャリパーブラケットと外側の固定プレートで挟み込む構造です。

 SONONIAは、ハブ軸に本体プレートを挟み込んで車軸と友締めし、一方をフレームリア三角のシートステイにクランプで固定する構造です。

 当然アダプターなので、両方共にフレームにリジッドな固定点を持っていません。

 ガレージにEizerZ501の前後ディスクブレーキ用ホイール、前後ブレーキキャリパー等が余っていてガレージの肥やしになっています。これらのパーツを使って誰かのミニベロに悪戯したいなと思ってもリヤディスク化の壁を越えないとできません。

今回は、「じゃあ、検討してみよう!」という企画です。

 リジット固定を前提にして、リアエンドに「ダボ」があるフレームをべーすにキャリパーブラケットを設計し試作まで行いました。

参考 最近は死語かもしれませんが、ダボとはリアエンドやフトントフォークエンド近くに設定された荷台や泥除けのステー固定用溶接ナット等の固定点です。

フロントフォークのダボ
  • 設計方針:EizerZ501のキャリパー位置関係をコピー
  • 設計基準点(データム):EizerZ501のリヤ車軸センター

設計step1

 設計基準点とEizerZ501のキャリパー固定点2か所を頂点とする基準三角形を作ります。

コメント 基準三角形の関係が成り立っていれば、車軸とキャリパーパッド中心はオリジナル設計関係を維持できます。なので、この基本三角形が維持できるようにブラケットを設計します。

設計step2

 基本三角形を設計基準点中心で回転させて、ブラケット固定点であるダボと基準三角の位置関係を決めます。

設計step3

 ブラケット固定点2点とキャリパー固定点2点が確定したので、簡単な図面を起こせば設計は完了で試作に移ります。

 設計対象は、自宅にある「HijikataオリジナルMTB」と「Tern Crest」として、両方に対応できるようにブラケットは設計しました。

左:Tern Crest 右:HijikataMTB
左:EizerZ501 右:設計図2/1

 当然、検討において図面はありませんから、フレームの写真を撮影してそれをベースに数値を取り出していきます。写真は撮影視点により実際の形状を正確には反映しないので、仮設計して厚紙でブラケットを作って、実車と突き合わせて最終寸法に追い込みます。 

 ブラケット材は、5tのアルミです。加工はそれなりに大変ですが、手持ちの工具を駆使してガレージで作りました(ボール盤が欲しかった)。

左:紙型 右:試作ブラケットとブレーキキャリパー

 取り付け時には、ダボは塗装が乗っていたりするので必ずタップを立ててねじ山を切り直しましょう。

HijikataMTB

 HijikataMTBでは、ブレーキキャリパーとフレーム間のスペースが大きめですが、これはTern Crestと共通のブラケットにしたためで、単独であればもっといい位置にできます。

Tern Crest

 今回作ったブラケットとブレーキディスク面との関係がオフセットしているので、オフセット分はカラーを使って調整します。

 このオフセットは、ブレークディスク面とブレーキパッド面の平行ずれも含みまが、キャパー取り付け穴の長穴分でキャリパー固定時に調整します。

 強度検証をしたわけでもないし、実際に全てを組んで制動力を検証したわけでもないのでなんとも言えませんが、案外しっかり出来ました。

 ダボさえあれば、リヤディスク化は手作りブラケットで対応できます。

オフセット調整できる長孔

 実は、この検討をする前にHijikataオリジナルMTBのリアハブを組み替えて8/9/10対応化したのですが、この検討を先にやっておけば、リアのハブ交換をやらないで、完組ホイールを導入してリアディスク化をトライしたと思います。

 最近の完組ホイールは、性能はいいしリーズナブルな価格で手に入ります。ハブを購入して手組でホイールを組み直すより費用対効果は高い気がします。

 まあ、それはそれとして今回の検討の結果、リジッド固定にこだわっても、ダボさえあれば何とかなる事が分かったので、わが家のガレージの肥やしになっているミニベロ部品たちを使って悪戯したいなと思う今日この頃です。

掘り出し物があるかも?!

コメント

  1. こうもと ひろあき より:

    初めまして、相模原市の57歳の自転車乗り(約14年)です。
    ミニベロのブレーキに関して不満を持ちなんとかしたく、この記事に出会いました。
    ダボを利用するアイデアをいただき、準備を進めましたが、ディスクローター160mmがフレームに干渉してしまい、今小さいローターを探しています。
    ちなみにこの記事のミニベロは何ミリのローターを使用したのか、そこまで製作されなかったのでしょうか。

    • みつぼん みつぼん より:

      申し訳ありません、コメント見落としていました。
      自分は160mmのローターです。フレームとの事なのでリアですよね。ハブがロード用の130mmでラップ量(干渉量)1.5mm以下ならMTB用の135mmを使って、フレームを広げるという手は検討出来ますね。フレームをいじるのとハブ組み換えが必要なので、お勧めではありませんが、、、小さなローターで解決できればベストですね!
      何かあれば、また連絡ください。

  2. たーこ より:

    興味がある記事ですので質問いたします。
    実際にディスクホイールを装着して試走はされたのでしょうか?
    ダボ穴の縁端距離が狭くブレーキング時に力が掛かりますので
    強度的に問題ないかが気になります。
    (Tern Crestと同じダボ穴位置のフレームが余っていて同じようにできないかと思っています。)

    • みつぼん みつぼん より:

      試走はしていませんが、Ternタイプだと大丈夫だと思いますよ。
      ラグが直接力を受けてくれるので強度的には有利です。
      自分のMTBだとダボがフレームに溶接してあるタイプなので、これは注意が必要ですね。
      何かあれば、お気軽に連絡ください!

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